De.IESAKI

一匹狼で捻くれ者デザイナーのブログ

人から人へ「思い」を届ける、そんなデザインでありたい。

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Webサイトをリニューアルするとき、現状のWebサイトのデザインを無視することはできない。

いくら今のデザインがダサかったり古かったりしても、いろいろなプロセスを経て今の形になっているはずだ。

そこには、いろんな人の「思い」が詰まってる。だからこそ、無下にはしたくないと私は思っている。

 

大概のリニューアルは、前任のデザイナーの話しは聞けない。どうしてこの色にしたのか、どうしてこの位置にあるのか。

クライアントも、特別にデザインの知識がなければ、なんとなくしかわからない。

でも、その「なんとなく」が大切だったりする。その「なんとなく」を汲み取って整理して表現するのがデザイナーの役目だと私は思っている。

 

今、リニューアルをしようとしているのだが、クライアントと上司が近い関係で、上司は「クライアントはこちらに任せきりで、こちらがこれが良いといえばそれに従う」みたいなことを言う。

 

では、今のデザインは前任のディレクターやデザイナーが自由に作ったのか?

 

いや、そんなことは無いはずである。

クライアントにヒアリングして、例えふわっとした意見でもそれを汲み取って今のデザインになったはずだ。

たしかにクライアントには「全部任せるから自由にやって」という人もいるが、それでもその会社やサービスに一番「思い入れ」があるのは、ディレクターでもなくデザイナーでもなく、クライアントだ。

クライアントを抜きにして、Webサイトは完成しない。

 

その「思い」をWebサイトに表現できなかったら、会社やサービスの方向性や雰囲気などにどことなくズレが生じていくだろう。

実際に会ってみたら/行ってみたら、Webサイトの印象と全然違う。なんてことがあったら、すごく悲しい。

 

たとえ、リニューアルであったとても、上司は自分が以前関わっていたことがあって勝手がわかっていたとしても、クライアントに加わって欲しい。

クライアント(社長・社員・アルバイトも)がさらに自分のサービスや会社に愛情を持てるようなものを作りたい。そのクライアントの愛情がお客様に伝わるようなWebサイトであって欲しい。

リニューアルなら、尚の事、今まで抱えていた問題を変えていくチャンスだ。

 

「思い」を届けるデザインがしたい。

だからこそ、上司のモノづくりに対する「思い」が腑に落ちなくてもやもやする。

 

今は力不足で上司を説得することもできないけど、上司のスキルを上手いこと吸収して、いつしか「思い」を届けるデザインができるようになろう。

そのためには、この気持ちをいつまでも忘れずに、今はひたすら辛抱だ。

 

 

ふと、思い出した文を置いておきます。

 

デザイン=ものの形を作ることだと思っていない。自分の好きな形をあてはめるためにやっているわけじゃない。<中略>デザインは接着剤みたいなもの。生産する人と使う人をくっつけるためのもの。

 

好きにして、って。でも、自分のやりたい形を実現することが目的じゃないから、一緒に作って行こう、って言って一緒に探した。

 

「のんべえ春秋2」より